マンション特集
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《城南エリア》の特色・地域性・歴史

         

以前、《城東・城西・城南・城北エリア》と《都心3区・5区》についてのコラムを書きましたが、今回はその中でも《城南エリア》に焦点を当ててどのようなエリアなのかを詳しく見ていきましょう。

 

コラム:『城東・城西・城南・城北エリアとは、都心3区・5区とは?』

 

「住みたい街」「住みたい沿線」が集まる城南エリア

《城南エリア》とは城、つまり江戸城(現在の皇居)から南側の方角に位置する地域のこと。
港区・品川区・目黒区・大田区の4区のことを指すのが一般的です。

城西エリアと並び、このエリアは「住みたい街」「住みたい沿線」と言われることが多く、不動産投資の面でも注目されているエリアです。

実需でも投資でも城南エリアが好まれるにはいくつかの理由があり、このエリアの歴史も関係してきます。

 

生活利便性の高さ

城南エリアは全体的に生活において便利な地域です。
山手線沿いの駅周辺はどこも開発が進んでおり言うまでもなく便利な土地ですが、たとえば「武蔵小山」や「自由が丘」など、都心部から離れた場所でも再開発によって便利な生活が送れるようになってます。

 

アクセスの良さ

鉄道ではJR山手線・東海道本線、東急各線、都営地下鉄各線など、このエリアは都心部と郊外とを繋いでいる路線が多く、上り・下りのどちらの移動に関してもアクセスが優れています。

下道では山手通り、明治通り、環七、環八、第一・第二京浜。
首都高ではC2(中央環状線)、羽田線、目黒線、台場線と、車でのアクセスに関しても都心部での移動における主要な道路が多く走っており、大変交通利便性の良いエリアと言えます。

 

安定した資産性

港区の麻布、青山、白金や品川区の城南五山を筆頭に、都内でも有数の高級住宅地が集中している城南エリア。
江戸時代の昔から大名屋敷が立ち並び、その後は華族、近年ではいわゆる財界人と、古くからその時代の富裕層が集まるエリアでした。

現在でも特に富裕層からの人気は衰えず、上記の「生活利便性の高さ」「アクセスの良さ」も相まって地価が下がりにくく安定しています。
当然、マンションやオフィスビルも同じく価値が安定しており、不動産投資の面でも高い人気を誇ります。

厳しい条例によって街並みが保全されている高級住宅地は地価が下がりにくいため、手堅い投資として選ばれることの多いエリアです。

 

港区

「都内の高級住宅地」と言えば多くの方が真っ先に思い浮かべるのはやはり港区ではないでしょうか。
政治家や企業の経営者、芸能人など富裕層が住む場所、というイメージを持つ方は多いはずです。

実際に港区の平均年収は1,000万円を超えています。これは23区内唯一でありトップの数字です。
区民の10人に1人が経営者とも言われていて、富裕層が住む場所というイメージに違わず高所得者が多いエリアと言えるでしょう。

このように港区が高級住宅地であることには歴史的な背景があります。
江戸時代、幕府は各国の諸大名に対して江戸城からほど近くに土地を与え、または大名自身が土地を購入し、その敷地に屋敷を立て住まわせました。
いわゆる江戸藩邸と呼ばれるものです。
当時、江戸城は現在の皇居の場所に位置していたことから、江戸藩邸の多くは現在でいうところの千代田区・港区に集中していました。

明治以降、旧幕府の所有していた土地は主要官庁、大学、大使館などに利用されました。
大名たちの所有していた土地は華族の邸宅として利用されたほか、当時の上流階級の人間に売却されるなどして武家屋敷から高級住宅地へと姿を変えていき、現在でも富裕層の住むエリアとしてブランドが確立されています。

千代田区・中央区と並んで政治経済の中枢である「都心3区」とされている通り、ビジネス需要も集中しているエリアであり、そういった面でも経営者や財界人に好まれています。

 

品川区

山手線の南西部に位置する品川区は、古くからの高級住宅地である「城南五山」を擁するエリアです。
「城南五山」とは島津山、池田山、花房山、御殿山、八ツ山という五つの高台を総称した呼び名。

港区と同じように江戸時代から由緒ある大名たちが屋敷を構えていたエリアであり、明治維新後に宅地化が進められていく中でも景観や価値を損なわず、高級住宅地としての地位を確立していきました。

御殿山以外は目黒・五反田・大崎・品川といったJR山手線の駅が最寄りになるため交通利便性も高く、職住近接ではなく「落ち着いていてかつ高級感のあるエリアに住みたい」といったニーズに合ったエリアになっています。

 

目黒区

桜の名所として毎年多くの人で賑わう中目黒、東急による開発によって現在では多くの文化人や芸能人が住む自由が丘など、近年で急激にブランドエリアへとのし上がったイメージのある目黒区。

ですが、代官山に隣接し現在もハイクラスな邸宅や大使館が立ち並ぶ青葉台など、古くからの屋敷町も存在しており正にトレンドとトラディショナルが同居したエリアと言えます。

目黒区の中でも西側に位置する碑文谷辺りも厳しい都市計画法によって低層住宅のための良好な環境が守られ、ステータス性の高い方たちに好まれる傾向にあります。
世田谷区と並び、目黒区に一戸建てを持つことが目標という方も多いでしょう。

中目黒や自由が丘は観光名所としても人気があり、流行のショップや飲食店が数多く存在しています。

 

大田区

大田区ではパリの凱旋門周辺のように駅を中心として西側、扇形に広がった高級住宅地、田園調布が何といっても有名です。
田園調布は港区や品川区のように江戸に端を発した屋敷町というわけではなく、大正時代になってから東急電鉄の創業者である渋沢栄一などによって開発された、いわゆる新興住宅地。

モチーフは当時イギリスで提唱されていた田園都市構想で、都市の外側を田園や緑地帯で囲むことで住環境に優れた環境を作り上げるというものでした。

開発当時から現在に至るまで、建物の新改築については地域自治体によって厳しく定められており、徹底した環境保全がされています。
特に、かつてはひと区画200坪が最低敷地面積と定められていた(現在は最低165㎡)こともあり、ゆったりとした邸宅が立ち並ぶエリア。
ちなみにこのエリアにマンションは一切なく、すべて戸建て住宅になっています。
こうした街の特徴から、同じく日本有数の高級住宅地である兵庫県芦屋市の六麓荘町と対比されることもしばしばあります。

 

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リテラ株式会社 代表取締役 加藤 圭一郎

2013年12月、東京都中央区銀座にて、リテラ株式会社を創業。創業前から不動産業界に身を置き、宅地建物取引士として14年のキャリアを誇る。 東京都心を中心に不動産の売買、賃貸、管理並びに仲介、斡旋業務を手掛けている。 また、引っ越しをもっと気軽にすることをコンセプトとした都心の高級賃貸マンションの情報サイト「Litera Properties」の運営をはじめ、不動産に付随した幅広いサービスを展開している。