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事故物件とは?見分け方を不動産のプロが解説

         

公開日 2022-04-28  最終更新日 2023-08-08

事故物件と聞くと「悲惨な事件が起きた物件」というイメージを持つ人もいるかと思います。

もちろん上記の意味もありますが、広義の「事故物件」にはそれ以外の物件も多く当てはまります。

最近では、多様な考え方や新しい認識が生まれつつあり、敬遠するのではなく、料金的なメリット等を理由に積極的に選ぶ方も増えてきました。

今回は事故物件の定義と注目される理由、「その物件が事故物件かどうか」を見分ける方法を、不動産のプロの視点で解説します。

事故物件とは?

事故物件とは、国土交通省のガイドラインによると、「心理的瑕疵のある物件」のことを指します。不動産取引における心理的瑕疵とは、取引対象となる不動産にまつわる嫌悪すべき歴史的背景がある場合につかわれます。とりわけ住宅の場合においては、殺人、自殺、事故死など、人の死が発生した場合に「心理的瑕疵」として扱われることが一般的です。

 

ただ、こうしたマイナスイメージは感じ方に個人差があるため、定義が曖昧となっています。

「これが絶対に事故物件だ」という正確な線引きがないのが現状です。

殺人事件首吊り自殺などは当然これに該当します。ですが、お年寄りの自然死で直後に親族に発見された場合、事故物件となる場合もあれば、事故物件という表記をしない場合もあります。

部屋内での自然死、病死は契約時の重要事項説明書の告知事項に該当しないとされているからです。

事故物件が注目される理由

事故物件が最近注目を集めている理由として、一般の物件に比べて価格が安い傾向にあることが挙げられます。リフォーム済みの物件も多く、相場よりもかなり手頃な賃料で真新しく綺麗な内装の部屋に住める物件があります。特にコストを抑えたい賃貸者や投資家にとって魅力的な選択肢となりやすいです。

価値観も多様となり、これまでの慣習的なイメージを気にしない方も増えました。「実際に事故物件に住んでみた」などの体験談がインターネットを中心に紹介されていることも、人気の要因となっています。

特に東京都内など人口密度が高いエリアでは、事故物件の選択肢が豊富にあり、それぞれの物件が特定のニーズに応じて選ばれることが増えました。

さらに国土交通省による2021年5月の事故物件ガイドラインの公開が大きな役割を果たしています。このガイドラインによって、取引が透明化され、消費者が情報に基づいた選択を行えるようになりました。事故死が発生した物件には「事故発生時からおおむね3年間」告知する義務があるとされ、その期間を過ぎれば告知義務がなくなることが明確に定められています。この明確なルールが消費者の信頼を向上させ、心理的障壁を減らしやすくなったのです。

もちろん、実際に住んだ人々の中には、「部屋が少し暗い雰囲気がする」といった感想を持つ人もいます。ですが住むことを決めた理由は人それぞれです。その部屋で起こった事故が自分に影響しないと考え、価格の安さを重視するなら、これはデメリットになりません。

現代の住宅市場を取り巻くこうした背景から、特に価格面でのメリットを求める層に対して、事故物件は一定の人気を獲得したといえます。

事故物件の見分け方

「これから引っ越しを検討しているので、事故物件かどうかを調べたい」「見分け方を知りたい」と思われる方もいるのではないでしょうか。

管理会社(不動産会社)が入居者を募集するとき、【告知ありと伝えるか】は管理会社またはオーナーさんの意向によります。そして、事故物件になると所有者の資産価値が必ず下がるため、所有者は認めたくないのが現状です。

仮に室内での病死も告知事項に含まれると、高齢化の進んでいる日本では多くのマンションが該当してしまいます。口コミなどから事故物件というレッテルを貼られると、少なからず物件の価値を下げてしまう大きな要因になります。このような背景もあってか、国土交通省のガイドラインでは、病死は告知事項に含まれないとされています。

そもそも亡くなった方のご遺族側の中には、「あまり周囲に詳しく状況を知られたくない」と考える方も少なくありません。日々のニュースでも、訃報関連の詳細は一定以上が公にならないのが普通です。

とはいえ、ニュースになるような大きな事件や、目撃者の多い事件であれば、インターネットに残っている情報も多いことから、比較的簡単に調べることができます。

事故物件を見分ける方法として、例えば下記の3つがあります。

事故物件情報サイトを確認する

インターネット上には、事故物件情報にアクセスできるサイトが複数あります。これらのサイトは、安価な物件情報や注意事項を確認することができ、物件を比較検討する際に参考になるはずです。

特に有名なものに、「大島てる」というサイトがあります。日本全国から海外までの情報を網羅し、ユーザーが情報を投稿できるようになっているのが特徴です。ただ、口コミ投稿がメインになり、すべての投稿が正しい情報ではないので注意しなくてはなりません。あくまで情報収集の参考にとどめ、詳細は不動産会社に聞くなど別の方法でも確認するのがおすすめです。

不動産会社へ直接確認する

情報によってはインターネットに公開されていない場合もあり、どうしても気になる場合は不動産屋に直接聞いてみるのがおすすめです。中には不動産会社でないと、知らない過去の事故などの情報もあるはずです。

弊社リテラでは、告知事項に該当しなくても知っている範囲になりますが、お客様が気になる点は事前に伝えるようにしています。

 

マンションが売却された後に、マンション名が変更になり、告知事項をしなくなるマンションもあります。しかし、告知事項をしなくてはいけない期間などに明確な決まりがないため、1つの事件について将来ずっと告知しなくてはいけないという事はありません。

告知するかどうかは、管理会社の社会的信用やモラルが係わってくるのです。

告知事項あり物件をGoogleで検索する

お部屋を募集する際に、事故物件の場合は「告知事項あり」と記載して募集をだします。

告知事項ありに該当する物件は、心理的瑕疵のある物件であり、事故物件であることが多いです。

ですので告知事項ありの物件は注意が必要です。

ただ、告知事項ありの場合でも、

・近隣に墓地や葬儀場といった施設がある

・住んでいる住民になにかしらの事情がある

・物件周辺で大規模な工事や騒音等がある

・暴力団関係の事務所が近い

など、別の理由であることもありますので、不動産会社の営業マンからの契約時の重要事項説明の内容をしっかりと聞きましょう。

相場と賃料を比べる

気になる物件の賃料が、近隣の相場と比べてあまりにも安い場合、事故物件の確率が高いです。

事故物件は相場よりも安くなっていることが多いです。そのため、特に気にしない人の中には狙って住んでいる人もいます。当たり前ですが、心理的瑕疵のある物件で、過去にマイナスのイメージのことが起きた物件のため、相場よりも安くなる傾向となります。

ただ、事故物件といっても相場と値段があまり変わらないことも。これは定義が曖昧なため、大きな事故でない場合は値段に大差がでないことも珍しくありません。

相場が安くなる事故物件は「殺人事件があった」「無理心中があった」などニュースにも取り上げられるような大きな事故の場合は値段が安いことが多いです。おおよそ20~30%ほど下がることが一般的となります。

仮に飛び降り自殺、自然死、など事件性があっても、ニュースで取り上げられないような事故の場合はそこまで値段が変わりません。

タワーマンションなどでは飛び降りが起こることも珍しくない昨今、気にしない人もいるためか、比較的値段も変わらないことが多いです。仮に自殺であったとしても、親族が体裁的にその事実を認めない傾向も見られます。

時には部屋ではなくマンションの共有部(エントランスやラウンジ、敷地内など)でそういった事故が起きることも。その場合はマンション1棟が丸々事故物件となるケースもあります。こちらも部屋と同様、事件性がない場合はマンション自体の価値変動には影響を与えません。

しかし、テレビで取り上げられるほどの事件になるとマンション自体の印象にも大きくかかわるため、マンション名を変える」「外壁の色を変えるなどの措置が取られる場合もあります。マンション名が変わったことがある物件は注意が必要といえるでしょう。

まとめ

最近は金額的なメリットから事故物件が注目される傾向にあります。該当物件かどうかを知った上での判断であれば、賃貸物件を探す際の選択肢も増えるかもしれません。

また、「事故物件」といっても様々な定義があります。東京都内のマンションでは、実際の情報の何倍もの事故物件に該当するマンションがたくさんあります。特に分譲マンションの一室で起こった事件は、ニュースにならない限りそのまま闇に葬られることが多い傾向です。

気になる方は、インターネットや不動産会社で事前に情報を集めることでリスクを回避できます。その際は、事故物件かどうかをお客様に正直に伝える“信用できる不動産会社”を選べば安心できるはずです。ぜひ弊社にお問い合わせください。

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リテラ株式会社 代表取締役 加藤 圭一郎

2013年12月、東京都中央区銀座にて、リテラ株式会社を創業。創業前から不動産業界に身を置き、宅地建物取引士として14年のキャリアを誇る。 東京都心を中心に不動産の売買、賃貸、管理並びに仲介、斡旋業務を手掛けている。 また、引っ越しをもっと気軽にすることをコンセプトとした都心の高級賃貸マンションの情報サイト「Litera Properties」の運営をはじめ、不動産に付随した幅広いサービスを展開している。