公開日 2018-05-15 最終更新日 2026-10-05
働き方が大きく変わった2026年。東京都の調査では、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は64.0%(2025年4月公表)と、リモートワークはすっかり日常の選択肢として定着しました。
会社に勤めて働くスタイルだけでなく、フリーランスや個人事業主として、自宅に仕事場を構えて働く人も増え続けています。そうした働き方の受け皿となるのが「SOHO」=住居兼オフィスとして使える賃貸物件です。
事務所契約として物件を借りるのではなく、あくまで住居の賃貸借契約として借り、そこを住居兼オフィスにするのがSOHOの基本スタイル。
この記事では、SOHOとはどのようなものか、「SOHO可」「事務所利用可」「住居用」の契約上の違い、法人登記の可否、そして2026年のリモートワーク時代ならではのSOHO物件の探し方のポイントまで、まとめてご紹介します。
SOHOとは
SOHOとは「Small Office / Home Office」の頭文字を取ったもので、直訳すると「小さなオフィス、自宅オフィス」。フリーランスの方や個人事業主、在宅ワークをする方が、小さなオフィスや自宅オフィスを構えて働くスタイルを指します。
SOHO物件というのは、そのSOHOを目的として借りる物件のこと。
あくまで「住居」としての賃貸借契約で借りる物件であり、事業用の事務所契約とはまったくの別物です。この違いが、審査・初期費用・使い方のすべてに関わってきます。
審査の面では、事務所契約のように事業計画書で審査を通すのではなく、基本的に個人の収入をもとに審査されます。そのため、これから立ち上げる法人が借りるのはハードルが高い一方、すでに事業をスタートして収入のある個人事業主・フリーランスであれば、現状の収入証明で借りられるケースが多くあります。開業して間もない方は、預貯金の残高や前職の収入などを合わせて相談できる場合もあるため、仲介会社に早めに事情を伝えておくとスムーズです。
2026年のいま、リモートワークやハイブリッドワークは特別なものではなくなり、「自宅が働く場所を兼ねる」のはごく当たり前になりました。会社員の在宅勤務であれば通常の住居契約の範囲内で問題になることはほとんどありませんが、個人事業主として自宅を「仕事場」として使う(来客がある、住所を事業用に表示する等)なら、SOHO可の物件を選ぶのが安心です。
「SOHO可」「事務所利用可」「住居用」の契約上の違い
物件探しの前に、まず3つの区分の違いを整理しておきましょう。ここを理解しておくと、物件情報の「SOHO相談」「事務所利用相談」といった表記の意味が正しく読み取れるようになります。
契約形態と用途の違い
・住居用: 居住専用の賃貸借契約。仕事での利用は想定されていません(在宅勤務程度は通常問題になりません)。
・SOHO可: 契約はあくまで住居の賃貸借契約のまま、住みながら仕事場としても使うことを貸主が認めている物件。
・事務所利用可(事務所可): 事業用の賃貸借契約を結べる物件。用途が「事務所」となり、契約条件も事業用の水準になります。
住居用の物件を無断でオフィス利用するのは契約違反となり、最悪の場合は契約解除につながるおそれもあります。仕事場として使う前提なら、必ず「SOHO可」または「事務所可」の物件を選び、使い方を事前に貸主へ伝えて承諾を得ましょう。
法人登記の可否
SOHO物件は住居契約のため、法人登記は基本的にNGです。法人登記をしたいと考えているのであれば、事務所契約を結べる物件を借りたほうがよいでしょう。
ただし2026年現在は働き方の多様化を受けて、住居系の物件でも貸主の承諾を得たうえで登記を認める「登記相談可」の物件も一部に出てきています。登記の希望がある場合は、申込前に必ず確認することが大切です。
また、登記は別の住所(バーチャルオフィスやレンタルオフィス等)で行い、SOHO物件は実際の作業場所として使う、という組み合わせも近年は一般的になりました。法人登記を必要としないフリーランス・個人事業主はもちろん、他の住所で登記している法人の簡易な事務作業のオフィスとしても、SOHOは選びやすい方法といえます。
看板・来客・住所表示
SOHOを許可していない物件であると、看板が出せない、郵便受けの表示に制限がかかるなどの制約があり、思った通りの事業を展開できないことがあります。SOHO可の物件でも、表札は「個人名+屋号の併記まで」など条件が付くことが多く、不特定多数の来客や店舗的な営業は認められないのが一般的です。来客の頻度が高い業種は、その点も含めて事前に相談しておきましょう。
初期費用・解約条件・家賃の税務上の扱い
もともとオフィス向けの事務所物件の場合は、上記の制約は一切ないものの、保証金が6か月〜10か月分程度かかる、解約予告が6カ月前などの条件が多く、借りる際の初期費用が高く、解約もすぐにはできないため、借りるハードルが高めです。
SOHOは住居契約のため、解約予告も1ヶ月〜2ヶ月、初期費用も事務所の契約と比べるとお手頃で、事業の成長に合わせた移転などをしやすいメリットがあります。
なお税務面では、一般に住宅の家賃は消費税が非課税、事務所契約の家賃は課税対象とされています。また、自宅兼事務所の家賃は、事業で使用している割合に応じて経費(家事按分)にできる場合があるとされますが、按分の考え方やインボイス制度下での扱いは個々の状況によって異なります。契約形態によって経理処理が変わり得るポイントなので、具体的な取り扱いは税理士や税務署に確認してください。
SOHO可の物件を選ぼう
オフィス利用を考えてマンションやアパートを借りる場合は、「SOHO可」となっている物件を探すようにしましょう。
2026年現在もSOHO可の物件は賃貸市場全体から見ると数が限られており、ポータルサイトの検索だけでは見つけにくいのが実情です。「SOHO可」「事務所利用相談」の条件で絞り込みつつ、仲介会社に用途(業種・来客の有無・登記の要否)を伝えて相談可の物件を探してもらうのが近道です。表記上は住居用でも、使い方次第で貸主が承諾してくれるケースもあります。
また、オンラインでの内見や申込みが広がった現在でも、SOHO利用の場合は使い方の説明が重要になるため、条件交渉も含めて担当者と密にやり取りできる仲介会社を選ぶと安心です。
SOHOに向いている業種・難しい業種
SOHO可の物件で想定されているのは、基本的に「来客が少なく、パソコン中心で完結する仕事」です。
エンジニア、Webデザイナー、ライター、イラストレーター、動画編集者、オンライン講師、コンサルタント、士業の事務作業など、デスクワーク中心の業種はSOHOと好相性。打ち合わせがオンライン中心になった2026年の働き方とも噛み合っています。
一方、ネイルサロン・エステ・マッサージなどの施術系、料理教室や各種スクールのように不特定多数の来客がある業態、物販で在庫や搬入出が多い業態は、SOHO可の物件でも認められないことが多く、店舗可・事務所可の物件を検討したほうが現実的です。楽器や機材など音の出る仕事も、近隣トラブルを避けるため事前に相談しておきましょう。
SOHO物件を選ぶ際のポイント
SOHO物件を借りる際は、オフィス利用や日常生活の双方について考慮して選ぶ必要があります。
SOHOは住居対応なので、洗面台、お風呂、キッチンがしっかりしているため、水回りのスペースが広く、デスクを置くスペースが、事務所仕様の間取りと比べて狭くなります。
寝泊まりしない方には無駄なスペースといえます。
・マンションタイプは事務所よりも、内装をいじることが難しい。
事務所と違い、SOHOはマンションタイプのため、仕切りを取り外すなど現状のレイアウトを変更すると、退去時の原状回復費用が高くなってしまうため、元のレイアウトをうまく利用しなければなりません。
レイアウトの変更をするために広めの1Rを選ぶか、将来のレイアウトを予想したうえで1LDK、2LDKの間取りを選ぶ必要があります。仕事と生活の切り替えを重視するなら、寝室とワークスペースを分けられる1LDK以上がおすすめです。
・表札などで、周りの部屋も事務所仕様が多い物件を選ぼう。
マンションによっては、ほとんどのお部屋がSOHO(事務所)で使用されているマンションがあります。
そのようなマンションの方が、来客が多い職種は安心して使うことができます。
一般住居が多いマンションだと、不特定多数の方の出入りは他の入居者のセキュリティー面で不安材料になり、近隣の方とトラブルになることがあります。
・通信環境と設備は「仕事の生命線」としてチェック。
リモートワークが定着した2026年のSOHO選びでは、インターネット環境の確認が欠かせません。光回線の引き込み可否や「インターネット無料」物件の実際の速度・接続方式は、Web会議や大容量データのやり取りに直結します。あわせて、デスクまわりのコンセントの数と位置、各居室のエアコン、Web会議の声が響きにくい遮音性、打ち合わせ中でも荷物を受け取れる宅配ボックスの有無も確認しておきたいポイントです。

申込みから契約までの流れと、契約書で確認すべきこと
SOHO物件の契約は、基本的な流れは通常の住居の賃貸と同じですが、「仕事場としても使う」ことを前提に進める点が異なります。つまずきやすいポイントと合わせて、流れを確認しておきましょう。
1. 条件の整理
エリア・予算・広さに加えて、SOHOならではの条件(登記の要否、来客の頻度、住所表示の希望、必要な通信環境)を先に整理しておきます。ここが曖昧だと、契約後に「できると思っていたことができない」というミスマッチが起きがちです。
2. 物件探し・内見
「SOHO可」「事務所利用相談」の物件を中心に、仲介会社へ用途を伝えて候補を集めます。内見では間取りや日当たりに加え、回線の引き込み状況、コンセントの位置、携帯の電波、昼と夜の周辺環境など「働く場所」としての視点でチェックしましょう。
3. 申込み — 用途は正直に申告する
申込時には、事業内容や使い方を正直に申告することが何より重要です。黙って事務所利用を始めると契約違反になりかねず、正直に伝えておけば貸主側も条件(来客ルールや表示方法など)を具体的に検討できます。事業内容がわかる資料(ホームページやポートフォリオなど)があると、話がスムーズに進みやすくなります。
4. 審査
個人の収入をもとに審査されるため、会社員の在宅勤務なら通常の住居審査とほぼ同じです。フリーランス・個人事業主の場合は、確定申告書や課税証明書など複数年分の収入資料を求められる場合があります。保証会社の利用が条件になることも一般的です。
5. 契約 — 特約を必ず確認
契約書では、用途に関する条項(住居兼事務所としての使用範囲)、法人登記の可否、看板・表札のルール、原状回復の範囲、火災保険(住居用でよいか)などを確認しましょう。口頭での「OK」ではなく、承諾内容を契約書や覚書に残しておくことが、のちのトラブル防止につながります。
家賃相場が上がる2026年、SOHO物件を上手に探すコツ
2026年の東京は、賃貸の家賃相場が大きく上昇しています。都心部のシングル向け物件を中心に募集賃料の上昇傾向が続いており、人気エリアでは好条件の物件ほど早く決まってしまう状況です。
そのなかでSOHO可というだけでも選択肢が絞られるため、「希望条件が固まったら早めに動く」ことが2026年のSOHO探しの鉄則です。
コストを抑える工夫としては、自宅は仕事がしやすい住居用・SOHO可物件を確保しつつ、登記や郵便物の受け取りはバーチャルオフィス、大人数の打ち合わせは貸会議室やコワーキングスペースと使い分ける方法もあります。すべてを1つの物件で満たそうとするより、トータルの固定費を抑えられるケースもあるでしょう。
また、タワーマンションや高級賃貸マンションのなかには、オートロックやコンシェルジュ、ゲストを迎えやすい共用ラウンジなど、SOHOワークと相性のよい設備が揃った物件もあります。セキュリティの高さは、自宅住所をなるべく明かしたくないフリーランスの方にとっても大きな安心材料です(SOHO利用の可否は物件ごとの確認が必要です)。
SOHO物件のよくある質問
Q. 会社員の在宅勤務(リモートワーク)でも、SOHO可の物件を選ぶ必要がありますか?
A. 勤務先に雇用されて自宅でパソコン作業をする在宅勤務は、一般的な住居利用の範囲と考えられるのが通常で、SOHO可物件を選ぶ必要はほとんどありません。SOHO可が必要になるのは、個人事業・法人の仕事場として住所を使ったり、来客を迎えたりするケースです。判断に迷う使い方をする場合は、契約前に仲介会社を通じて確認しておくと安心です。
Q. 自宅の住所を取引先に知られたくないのですが。
A. 名刺やホームページ、特定商取引法に基づく表記などで住所の表示が必要な業態では、自宅住所をそのまま使うことに抵抗がある方も多いでしょう。その場合は、対外的な住所はバーチャルオフィスを利用し、実際の作業場所としてSOHO物件を使う組み合わせが現実的です。オートロックやコンシェルジュ付きなどセキュリティの高い物件を選ぶことも、安心材料になります。
Q. 入居後に事業を始めたくなったら、どうすればいいですか?
A. 住居として契約した物件で後から事業利用を始めたい場合は、自己判断で使い始めず、必ず貸主(管理会社)に相談して承諾を得てください。使い方によっては認められることもありますし、難しい場合は更新や住み替えのタイミングでSOHO可物件へ移る計画を立てるのがスムーズです。
まとめ
事務所契約の物件と違い、保証料が安い、解約予告期間が短い、水回りが綺麗など、メリットが多いSOHO。
リモートワークが定着し、働く場所の自由度が増した2026年は、フリーランスや個人事業主として自宅兼オフィスで働くスタイルがますます現実的な選択肢になっています。
一方で、法人登記の可否や看板・来客の条件、経費の扱いなど、契約前に確認しておくべきポイントも多いのがSOHO物件です。
リテラ株式会社では、東京のタワーマンション・高級賃貸を専門に、SOHO利用のご相談も含めたお部屋探しをお手伝いしています。「この物件でSOHOは可能?」「登記はどうすれば?」といった個別のご相談も、ぜひお問い合わせください。
リテラ株式会社 代表取締役 加藤 圭一郎
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