コラム
8544view

【2026年版】普通借家契約と定期借家契約の違い(メリット・デメリット)

         

公開日 2020-04-11  最終更新日 2026-10-05

物件を貸す場合・借りる場合、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いを理解しておく必要があります。

家賃相場が大きく上昇している2026年の東京では、都心部を中心に定期借家契約で募集される物件の割合が増加傾向にあるとの民間調査もあり、両者の違いを知る重要性はかつてなく高まっています。

今回はそれぞれの契約形態の特徴とメリット・デメリットを貸主・借主双方の立場から解説します。あわせて、2022年5月の法改正で定着した電子契約・書面の電磁的交付や、2026年の賃貸市場における定期借家の使われ方についても触れていきます。

普通借家契約

普通借家契約

住居の賃貸借における一般的な契約形態で、借地借家法に基づく契約です。

契約期間は2年間とされているケースがほとんどです。なお、1年未満の期間を定めた場合は「期間の定めのない契約」とみなされるとされています(借地借家法29条)。

契約満了の際は原則として更新されます。貸主側から更新を拒絶したり解約を申し入れたりするには、借地借家法28条の「正当事由」が必要とされ、このハードルは非常に高いのが実情です。

このため、「貸主(オーナー)よりも借主(入居者)の立場が強い契約」と言われています。

貸主側のメリット・デメリット

メリット

・一般的な契約形態なので借り手が付きやすく、賃料等の条件も相場通りに募集が出せる

・大手法人契約(借り上げ社宅)に対応できる

・定期借家契約に比べ契約手続きがシンプル(法律上は口頭でも契約自体は成立し得る)

デメリット

・貸主からの解約(いわゆる追い出し)が非常に難しく、実質不可能に近い

・賃料改定に借主が同意しない場合、簡単には値上げができない。賃料増額の請求自体は法律上可能とされていますが(借地借家法32条)、協議が整わなければ調停・訴訟といった手続きが必要になります。家賃相場が上昇している2026年の局面では、長期入居者の賃料を相場に追随させにくい点が、以前にも増して意識されるようになっています。

借主側のメリット・デメリット

メリット

・更新を希望すれば原則として更新し続けられるため、追い出されるリスクが小さい

・賃料を一方的に増額される心配が少ない(増額には協議や法的手続きを要する)

デメリット

・定期借家契約に比べ契約時の条件交渉が通りづらい

・更新の際に更新料(首都圏では新賃料の1ヶ月分程度とされることが多い)が掛かる

定期借家契約

定期借家契約

あらかじめ定めた契約期間に基づき、更新がなく、期間満了により確定的に契約が終了する契約形態です(借地借家法38条)。

借主側の保護に重点が置かれている普通借家契約に比べて、貸主側のメリットが大きくなります。

契約期間に制限はなく、1年未満の設定や「〜年〜月まで」という設定も可能です。

更新という概念はありませんが、双方が合意すれば再度契約をし直す「再契約」という形で、更新に代えて契約を継続することもできます。

定期借家契約のルール — 事前説明・終了通知・中途解約

定期借家契約を有効に成立させるには、普通借家契約にはない手続きが必要です。主なポイントは次の通りです。

・契約は公正証書等の書面(または後述の電磁的記録)で行う必要がある

・貸主は契約前に、「この契約には更新がなく、期間満了により終了する」旨を記載した書面を交付(または電磁的方法で提供)して説明する必要がある。この事前説明を欠くと「更新がない」という定めは無効となり、普通借家契約として扱われると解されています

・契約期間が1年以上の場合、貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借主へ契約終了の通知をする必要がある

・床面積200㎡未満の居住用建物では、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情で住み続けることが困難になった場合、借主から中途解約を申し入れることができ、申入れから1ヶ月で契約が終了するとされています

細かな要件や例外もあるため、実際の契約にあたっては宅建業者や専門家に確認することをおすすめします。

2022年5月の法改正で電子契約が可能に — 2026年は実務に定着

デジタル改革関連法の一環として、2022年5月18日施行の宅建業法改正により、重要事項説明書や契約書面(37条書面)の電磁的交付が解禁され、押印も不要になりました。

同時に施行された借地借家法の改正により、定期借家契約そのものを電磁的記録(電子契約)で締結できるようになり、契約前の事前説明書面についても、借主の承諾を得たうえで電磁的方法により提供することが認められています。

オンラインでの重要事項説明(IT重説)と合わせて、2026年現在、賃貸の契約実務では「来店不要・オンライン完結」の電子契約がすっかり定着しました。定期借家契約も例外ではありません。

ただし注意したいのは、電子化されたのはあくまで「方法」であって、事前説明などの手続きそのものが不要になったわけではないという点です。

貸主側のメリット・デメリット

メリット

・期間経過後、確実に借主が退去するため売却や自己使用の計画がしやすい

・転勤等で自宅を空けている間のみ貸す(リロケーション)、ということが可能

・再契約時に貸主側の裁量で賃料を見直せるため、家賃相場の上昇局面では相場に追随させやすい

デメリット

・通常、普通借家契約よりも借り手が付きづらく、賃料を相場よりも低くするなど工夫が必要になりやすい

・大手法人契約(借り上げ社宅)に対応できない場合がある

・事前説明や終了通知など、普通借家契約に比べて契約手続きが煩雑

借主側のメリット・デメリット

メリット

・普通借家契約よりも割安な賃料で借りられることが多い

・更新料がない(再契約の際に再契約料が掛かる場合はあり)

・初期費用が普通借家契約よりも抑えられることも

デメリット

・期間満了後、貸主から再契約を断られる可能性がある

・再契約時、賃料の改定を提示されても対抗しづらい。家賃が上昇している2026年の市場では、再契約のたびに増額を提示されるリスクは意識しておきたいポイントです

・中途解約する場合、やむを得ない事情がある場合等を除き、残期間の賃料相当の違約金等が発生する契約になっていることがある

2026年の賃貸市場と定期借家 — 増えている活用シーン

賃貸借契約のイメージ

かつて定期借家契約は「借り手が付きにくい特殊な契約」というイメージが先行していましたが、近年は様子が変わってきています。都心部を中心に定期借家で募集される物件の割合は上昇傾向にあるとの調査が民間の不動産情報サービス各社から報告されており、特に家賃相場の上昇が続く東京では、貸主側が定期借家を戦略的に選ぶケースが目立ちます。

2026年の東京で定期借家がよく使われる代表的なシーンは次の通りです。

・リロケーション:海外赴任や転勤の間だけ自宅を貸し、帰任後に確実に自宅へ戻りたいケース

・建替え・大規模修繕の前提:数年後に取り壊しや工事を予定している物件を、それまでの期間限定で貸すケース

・売却・自己使用の予定:将来の売却や家族の使用を見据えて、明け渡し時期をコントロールしたいケース

・賃料の見直し:再契約のタイミングで賃料を相場に合わせて見直したい、家賃上昇局面ならではのケース

当社が専門とするタワーマンション・高級賃貸の分野では、オーナーが分譲マンションの一室を貸し出す「分譲貸し」が多く、将来の売却や自己使用を見据えて定期借家契約が選ばれることが少なくありません。借主側から見れば、条件の良い物件が定期借家で募集されていることも多いため、「定期借家だから」と最初から選択肢を外してしまうのはもったいない、というのが2026年の相場観です。

まとめ — どちらが良い・悪いではない

いかがでしょうか。

どちらが良い・悪いというものではありませんが、端的に言えば普通借家契約では立場が「貸主<借主」に、対して定期借家契約では「貸主>借主」になる場面が多くなります。

たとえば普通借家契約を締結したものの借主に問題があり、賃料をしばしば滞納したり近隣トラブルを起こすような方だったとしても、追い出すのは容易ではありません。借主が更新を希望する場合、原則として契約は更新されてしまいます。

一方、定期借家契約では借主側が不利であることから借り手が付きづらくなり、早期に空室を埋めることが難しくなる場合があります。

「なるべく自分が有利な契約を結びたい」と思うのは当然の心理ですが、片方が有利になりすぎても契約はうまく運びませんし、トラブルの原因にもなり得ます。

たとえば定期借家契約であっても契約期間を長く(3年以上)設定したり、賃料や礼金を抑えるなど、なるべくお互いのメリット・デメリットが釣り合う契約を心がけることが肝要です。

東京のタワーマンション・高級賃貸のお部屋探し、分譲貸しのご相談はぜひリテラへ。普通借家・定期借家それぞれの特性を踏まえて、貸主様・借主様双方にとって納得感のある契約をご提案します。お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。

この記事の運営・編集
リテラ株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(3)第96348号)
東京のタワーマンション・高級賃貸を専門に仲介しています。会社概要/お問い合わせ

The following two tabs change content below.

リテラ株式会社 代表取締役 加藤 圭一郎

2013年12月、東京都中央区銀座にて、リテラ株式会社を創業。創業前から不動産業界に身を置き、宅地建物取引士として14年のキャリアを誇る。 東京都心を中心に不動産の売買、賃貸、管理並びに仲介、斡旋業務を手掛けている。 また、引っ越しをもっと気軽にすることをコンセプトとした都心の高級賃貸マンションの情報サイト「Litera Properties」の運営をはじめ、不動産に付随した幅広いサービスを展開している。