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民法改正で賃貸借契約はこう変わった【2026年版・借主向け解説】

         

公開日 2020-04-12  最終更新日 2026-10-05

賃貸借契約と民法改正のイメージ

2020年4月1日、明治時代に作られた民法(債権法)が約120年ぶりに大きく見直され、改正民法が施行されました。修正された項目は約200項目にも及び、賃貸借契約のルールもこのとき大きく変わっています。施行から6年が経った2026年現在、東京でお部屋を借りる際の契約は、基本的にすべてこの改正民法(現行民法)が前提になっています。
本記事では、敷金・原状回復・保証人・修繕・オーナーチェンジなど、これからお部屋を借りる方(借主)が知っておきたい「現在の賃貸借ルール」を2026年版として解説します。

民法改正で変わった賃貸借契約の5つのポイント(現在のルール)

①敷金返還ルールの明文化
②原状回復義務の範囲の明確化
③個人の保証人には「極度額」の定めが必須
④借主の「修繕権」と設備故障時の賃料減額
⑤オーナーチェンジ時の賃料の支払先と敷金の引き継ぎ

順番に、改正前と現在のルールを比べながら見ていきましょう。

①敷金返還ルールの明文化

《改正前》
民法上、敷金についての明確な規定がなく、返還の時期や範囲は慣行や判例に委ねられていました。
《現在のルール》
民法622条の2で、敷金は「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。そして、賃貸借契約が終了して物件を明け渡した時点で、未払賃料などを差し引いた残額を借主に返還する義務が貸主にあることが明文化されています。

「保証金」などの名目であっても、実質が同じであれば敷金として扱われます。施行から6年が経った現在では、敷金の精算方法や返還時期を契約書に明記するのが標準的な運用になっており、「敷金は理由なく返ってこないもの」という昔の感覚はもう通用しません。

②原状回復義務の範囲の明確化

《改正前》
退去時の原状回復について民法上は明確にされておらず、国土交通省のガイドラインや判例が頼りでした。
《現在のルール》
民法621条で、借主は物件の引き渡し後に生じた損傷について原状回復義務を負う一方、通常損耗(普通に使っていて生じるすり減りや汚れ)と経年変化は原状回復義務に含まれないことが明記されています。壁紙の日焼けや家具の設置跡などを借主負担とすることは、原則としてできません。

実務では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が負担区分の基準として定着しています。また東京都内の居住用賃貸では、2004年施行の賃貸住宅紛争防止条例(いわゆる東京ルール)により、契約前に原状回復などの費用負担の説明を受けることができます。東京ルールの詳細は「【2026年版】東京ルール」の記事で解説しています。

もっとも、ルールが明文化された現在でも退去時の原状回復トラブルはなくなっておらず、国民生活センターは2026年2月にも注意喚起を行っています。国土交通省の資料でも、賃貸住宅に関する消費生活相談のうち敷金・原状回復に関するものが3〜4割程度を占めるとされています。入居時に室内の傷や汚れを写真で記録しておくことが、6年経った今も最も有効な自衛策です。

③個人の保証人には「極度額」の定めが必須

《改正前》
連帯保証人が保証する範囲に上限の定めは必須でなく、「滞納家賃を保証するもの」という認識が一般的でした。しかし実際には、借主の過失で壊れた設備の修繕費など、家賃以外も際限なく保証の対象になり得ました。
《現在のルール》
民法465条の2により、個人(法人以外)が保証人になる根保証契約は、極度額(保証の上限額)を定めなければ無効です。極度額は「○○万円」と明瞭に定め、書面(または電磁的記録)に記載する必要があります。実務では家賃の1〜2年分程度で設定される例が多く見られます。

また、次のいずれかに該当したときは元本が確定し、その後に発生する債務は保証の対象外となります。

1.債権者が保証人の財産について強制執行や担保権の実行を申し立てたとき
2.保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
3.主債務者または保証人が死亡したとき

この改正で個人の保証人を立てるハードルが上がったこともあり、2026年現在は連帯保証人の代わりに家賃保証会社の利用を必須とする物件が主流になっています。初回保証料(家賃の0.5〜1ヶ月分程度が目安)や更新保証料がかかるため、初期費用を見積もる際はチェックしておきましょう。

④借主の「修繕権」と設備故障時の賃料減額

《改正前》
室内設備の修繕は貸主の負担で行うのが原則で、不備や故障が生じた際は管理会社(貸主)に事前連絡し、修理の手配も管理会社(貸主)が行うものとされていました。借主が勝手に手配した工事費の事後請求は基本的に認められませんでした。
《現在のルール》
借主の故意・過失による損傷は貸主の修繕義務に含まれないことが明文化されるとともに、民法607条の2により、借主が修繕が必要と通知した(または貸主が知った)のに相当な期間内に修繕されないとき、もしくは急迫の事情があるときは、借主が自ら修繕できる「修繕権」が認められています。

さらに民法611条により、雨漏りや設備の故障などで物件の一部が使用できなくなった場合、その割合に応じて賃料は当然に減額されることになりました。ただし、借主が手配した修理費用が相場より高額だと貸主との間でトラブルになりやすいため、現在の実務でも「まず管理会社・貸主に連絡し、対応されない場合に修繕権を使う」のが基本です。

⑤オーナーチェンジ時の賃料の支払先と敷金の引き継ぎ

《改正前》
契約期間中に建物の所有者が変わった場合に、誰が賃貸人になるのか、新所有者は賃料を請求できるのかが民法上規定されていませんでした。
《現在のルール》
民法605条の2により、借主が対抗要件(入居して建物の引き渡しを受けていること)を備えている場合、建物が譲渡されると賃貸人としての地位は原則として新所有者に移転します。新所有者が借主に賃料を請求するには所有権移転登記を備えている必要があり、敷金の返還義務も新所有者に引き継がれます。投資用物件の売買が活発な東京のタワーマンションではオーナーチェンジは珍しくありませんが、借主の立場は法律で守られているためご安心ください。

「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ

この改正では、長年使われてきた「瑕疵(かし)担保責任」という言葉がなくなり、「契約不適合責任」に生まれ変わりました。引き渡されたものが種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合に、売主・貸主が責任を負うという考え方です。従来の「隠れた瑕疵」という分かりにくい要件がなくなり、「契約の内容に合っているかどうか」というシンプルな基準になったのがポイントです。

賃貸の借主にとっては、例えば「エアコン付き」として契約した部屋のエアコンが壊れていた場合など、設備が契約内容と異なるときに修繕の請求や賃料減額(前述の611条)を求めやすくなった、と理解しておけば十分です。募集図面や重要事項説明書に記載された設備・条件が「契約の内容」の基礎になるため、契約前の書面確認がより重要になっています。

改正前の契約はどうなる?|施行から6年経った2026年の現在地

経過措置として、施行日(2020年4月1日)以後に締結された契約には改正民法が、施行日より前に締結された契約には改正前の民法が適用されます。ただし、施行日後に当事者の合意によって契約を更新したときは、新しい民法が適用されます。一方、保証契約については、合意更新しない限り改正前の民法が適用され続けます。

施行から6年が経過した2026年現在では、多くの賃貸借契約が更新や再契約を経て改正民法ベースに移行しており、これから新たに結ぶ契約にはすべて現行の民法が適用されます。「改正でどう変わるか」ではなく「現在のルールを正しく知っているか」が問われる時代になったと言えます。

2026年にお部屋を借りる人がチェックすべきポイント

最後に、現在の賃貸借ルールを踏まえて、契約前に確認しておきたいポイントをまとめます。

・敷金の精算方法と、原状回復に関する特約の内容(通常損耗まで借主負担とする特約には要注意)
・個人の保証人を立てる場合は極度額がいくらか/保証会社利用の場合は初回保証料・更新保証料
・設備の故障時の連絡先と対応フロー(修繕の連絡窓口)
・契約形態が普通借家か定期借家か(更新の可否が大きく異なります)
・入居時の室内の写真記録

契約形態の違いについては「【2026年版】普通借家と定期借家」の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

リテラ株式会社は、東京のタワーマンション・高級賃貸を専門とする仲介会社です。家賃相場が大きく上昇している2026年の東京では、契約条件を正しく理解したうえでのお部屋選びがますます重要になっています。敷金・保証・特約などの契約条件のチェックも含めて、経験豊富なスタッフがサポートいたしますので、東京のお部屋探しはぜひリテラへお問い合わせください。

この記事の運営・編集
リテラ株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(3)第96348号)
東京のタワーマンション・高級賃貸を専門に仲介しています。会社概要/お問い合わせ

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リテラ株式会社 代表取締役 加藤 圭一郎

2013年12月、東京都中央区銀座にて、リテラ株式会社を創業。創業前から不動産業界に身を置き、宅地建物取引士として14年のキャリアを誇る。 東京都心を中心に不動産の売買、賃貸、管理並びに仲介、斡旋業務を手掛けている。 また、引っ越しをもっと気軽にすることをコンセプトとした都心の高級賃貸マンションの情報サイト「Litera Properties」の運営をはじめ、不動産に付随した幅広いサービスを展開している。