
物件を借りる際には、まず入居審査というものがあります。
ごく稀に審査を行わずに契約できる物件もありますが、都心部ではほぼ皆無と言っていいでしょう。
今回は入居審査とはそもそもどういったものなのか、また個人契約と法人契約それぞれの審査内容の違いについて説明していきます。
入居審査とは
まず物件を決めてから実際にその物件を借りる際の流れとしては
1. 申込
2. 入居審査
3. 契約締結・契約金支払い
4. 引き渡し
と、このようになっています。
申込によって入居の意思を貸主側へ伝え、貸主側の行う入居審査を経て晴れて契約となります。
では「審査」と言っても具体的にはどういった事柄を審査されているのでしょうか。
入居審査の基準
知っている方も多いかと思いますが、かねてから賃貸の審査といえば《賃料の3倍の収入があること》と言われてきました。
実はこれは必ずしもそうというわけではなく、賃料の3倍に満たない収入であっても審査に通ることもあれば逆に十分な収入がありながらも審査に落ちてしまうこともあります。
それはなぜか。審査の基準は収入面だけではないからです。
そもそも、ほとんどの物件で保証会社の利用が必須となっている昨今においては、オーナーが良いと言えばそれで良し!ということはなく、「審査」は多段階的に行われています。
保証会社による審査、管理会社による審査、そしてオーナーによる最終判断。
このような複合的な審査に通って初めて「審査承認」となるわけです。
実際にどういった基準で審査は行われているのか。これは管理会社・オーナーによって異なるものですがここでは大まかな基準を個人契約と法人契約に分けて書き並べていきます。
個人契約
・(概ね)賃料の3倍以上の収入があること
・勤務先の会社規模・業務内容
・過去に同一の保証会社・管理会社での賃料遅滞やトラブルの有無
・逮捕歴の有無や反社会的勢力等ではないこと
個人契約の場合、主に収入や過去に賃料の遅滞・トラブルが無かったかどうかを基準として審査が行われます。
それ以外にも勤務先がどのような会社なのか、時には代表者がどんな方なのかまで気にされるケースもあります。
たとえば自分個人には何ら問題がなくてもなぜか審査に通らない・・・という場合、勤務先の会社やその代表者に問題がある可能性も否めません。
また、申込をした意味が良く分からないといった場合にも審査に通らないことがあります。
例を挙げると《かなり広いお部屋なのに一人暮らし》《勤務先と物件があまりにも離れている》など。
当然、管理会社やオーナーが見て「怪しい」と感じる場合は審査に影響が出てしまいますので、申込時にきちんと理由を伝えることが大切です。
法人契約(中小企業)
・決算書ベースでの業績
・設立からの年数
・会社規模・業務内容
基本的に法人契約では、申込時に決算書・登記簿謄本・会社概要の三つを提出する必要があります。
この書類を見ながら審査を進めていくことになるため、業績は非常に重要な要素です。
どれだけ黒字が出ていれば良い、というものではありませんが、赤字決算になっている会社は当然審査が難航します。
それ以外には業務内容や会社の規模も審査に係ってきます。
設立から日が浅い、会社の規模がそれほど大きくない、また業績が芳しくないといった場合には代表者の連帯保証が必要になる場合もあり、その際には代表者の収入等も審査対象となります。
法人契約(大企業)
・原則は無審査(保証会社不要)
・オーナーの好みによっては弾かれる場合もごく稀にあり
いわゆる「大手法人契約」です。
何をもって大企業・大手法人と見なすかに明確な基準はないのですが、資本金が億単位の会社であればこれに該当すると見なす場合が多いです。
そもそも賃貸借契約の際に保証会社を利用できないという規則を設けている会社がほとんどですので、貸主側もそれに合わせることとなり必然的に無審査で申込から契約へと進みます。
つまり審査自体を行わないため、審査不承認となることはありません。
ですがごくごく稀にオーナーから「この会社は嫌いだから貸さない」という理由で断られる場合があります。
非常に可能性は低いのですが、これはひとえにオーナーの好みによるものですので、こうなると運が悪かったと諦めるほかありません・・・
このように「審査」と言ってもいくつものプロセスがあり、審査の基準も様々な角度から総合的に判断するものです。
審査が厳しい保証会社・管理会社もあれば、逆も然り。
なかなか審査に通りづらいという方は、なるべく審査が厳しい物件を避けることも重要でしょう。
とはいえ、あくまで「やってみないとわからない」のが入居審査です。
ダメ元で申込をしてみたら審査承認が降りた!ということも珍しくありませんので、気に入った物件があればぜひともトライしてみてはいかがでしょうか。